Yocchi's property man

アスベルのガンシップ
Nausicaa of the Valley of Wind. Asbel's Gunship
「風の谷のナウシカ」ペジテ市の戦闘機
製作記 @



徳間書店 「風の谷のナウシカ」1巻より



1982年
徳間書店のアニメ雑誌「アニメージュ」で連載を開始した
宮崎駿の漫画 「風の谷のナウシカ」。

その中に登場する小さな都市国家”ペジテ”の王子「アスベル」が乗っていた
単座のガンシップは、2つの機関砲と高性能エンジンを備えその真紅の機体に
アスベルの操縦技術も加わり高い機動性を発揮していました。

しかし、クシャナ率いるトルメキア軍に単独で奇襲をかけるも
ナウシカの静止に注意を削がれコルベットに撃墜されてしまいます。

登場シーンはごく僅かでしたが、その機影はとても魅力的だったのです。
そこで、今回はこの「アスベルのガンシップ」をフルスクラッチする事にしました。


「風の谷のナウシカ」の時代背景は、巨大産業文明を築き極限まで発達した
科学技術を持ってしまった人類が引き起こした最終戦争”火の七日間” から
約1.000年後の話であり、発達していた文明は失われています。



すでにエンジンを造る技術も失われて久しいナウシカの時代。

ペジテ市では地中奥深く堀り進み「火の七日間」以前の旧文明遺跡から
エンジンやセラミック装甲などを発掘し加工・供給する
工房都市になっています。

この国の王子であるアスベルにとってエンジンのカスタムや
メンテナンスなどは小さい頃から慣れ久しんできた分野だと思われ
優遇された環境下にあったアスベルのガンシップは他国の
ガンシップを遥かに凌ぐ機体だったとも想像できます。


また、漫画連載から2年後の1984年には同タイトルで「映画化」され
そこにも「アスベルのガンシップ」は登場します。

ただ、漫画版と映画版の機体は形状に違いがあるので
今回製作するガンシップの基本形は漫画版の機体とし
内部構造は映画版を参考に製作する事にしました。


では早速制作に入ります。
いつものようにビデオや漫画を参考に図面を書きたかったのですが
慣れない機体に妄想がイマイチ膨らまず悪戦苦闘・・・(T T)

結局
三面図は諦め、機体本体の側面図だけを簡単に書き上げ
紙粘土でバランスを見ながら作っていく事にしました。
本体以外のパーツも現物合わせでその都度作りますが、
この方法だと時間が掛かってしまうのが難点です。
また、形が決まった所で各パーツはFRP又はプラバンへ
置換しながら作業を進めていきます。

取り合えず、今回最大の難物の「機体本体」から挑戦です。

これさえ気に入ったモノに仕上がれば
今後の作業はとても進めやすいのであります。

まず本体の芯となる新聞紙を硬くしぼり、テープでぐるぐる巻きにしました。



一応、製作用スタンドも用意し、イメージを膨らませていきます。
ん〜〜ん!微妙?



全体を紙粘土で覆います。
一気に形状を出してしまうと乾燥に時間が掛かったり
ヒビや収縮による修正も大変になるので
2回に分けて紙粘土を盛ることにしました。

まずは1回目。 

十分乾燥させます。

ちなみに使ったのは100円ショップで買った「共和文具」の紙粘土。
かなり重量のある紙粘土ですが、とても滑らかで非常に使いやすい粘土でした。



2回目の紙粘土を盛り付けます。

その際、霧吹きで一回目の紙粘土原型に水分を与え
食い付きを良くしてから作業します。



乾燥したら”前・後”に円を書き込み、それを目安に紙やすりで
表面を削っていきます。



前と後の円を直線で繋ぐようなサンディングはなるべく避け
”大根のかつらむき”のように円に沿わせるような
サンディングで全体を整えます。



ほぼ形状出し終了です。
後部の噴射口も絞り込み、このような形状に落ち着きました。
上下ひっくり返すとちょっと太めなメーベの噴射口みたいです。



機体のRが整った所で”ヘッドレスト部”を盛り付けます。
収縮する事を考慮し少々大きめに盛っておきます。



十分に乾燥させた後、機体のRに沿わせるよう削っていきますが
せっかく整えた機体のRを削ってしまっては意味がありません。
ヘッドレストのみを削り、最後に機体のRと馴染ませる程度に仕上げます。

上手く繋がったらコックピット開口部までの間を平面的に一気に削り倒します。



↑この状態で何度も漫画と見比べ理想の形状になるよう微調整していきます。

ようやく納得出来る形状(個人的に・・・)になったので
サーフェイサーを吹き表面を磨きあげました。

これはFRPに置換する為、石膏型との離型や
抜けたFRPパーツの表面を滑らかにするのが目的です。



前作の「インダストリアの飛行艇”ファルコ”」を作った時には
石膏型を作るのに都合が良いよう2分割出来る原型を作りましたが
今回は紙粘土・一体製なのでそうはいきません。

そこで今回は
原型に半分づつ石膏をかけ型を取る事にしました。

出来上がった機体原型を縦に割るようにラインを書き込み
コックピットや噴射口など、離型の際に引っ掛かりそうな所は
粘土で埋めておきます。



粘土を短冊状に切り・・・・



機体をクルっと1周するよう粘土をライン上に乗せていきます。



機体側面図を利用し一回り大きくクリ貫いた発泡スチロールを用意して・・・



そこへ機体原型をはめ込みます。
粘土節約の為であります(汗)



このあと粘土と発泡スチロールの隙間を埋めて
上から石膏をかけ流していきます。

ちなみに私は
水と合わせ攪拌した石膏の粘度がやや上がってきた時にかけています。
ちょっとユルめなその石膏は、ヘラですくい上げながら
形を整えられるからです。



石膏が固まったら発泡スチロールから外し原型も取り出しします。

そして反対側も同じように型を取るのでありました・・・ ( ̄ω ̄;) トホホ



これでようやく石膏型が出来ました (≧∇≦)♪



この後
一週間以上じっくり乾燥させて次作業に臨みます。

ちなみに、乾燥が十分に進んだ石膏は
指で弾くととても澄んだ良い音するのです♪

キーン!キーン!と、
金属のようなカン高い音が・・・( ゜▽ ゜;) うぉ!!



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